HACCP義務化、取り組みがわからない経営者の皆様へ



HACCPとは事業者が衛生的な食品を製造するために未然に危害要因(食中毒・異物混入など)を分析・把握し、原材料の入荷から出荷までの全工程で危害要因を除去することによって食品の安全性を確保するためのシステムです。

つまり、計画・実施・記録・チェックを行うことで、衛生管理の見える化を行う手法です。


2021年6月から食品衛生法の改変により、すべての食品等事業者にHACCPに沿った衛生管理の実施が制度化され、営業の届出・許可が義務付けられることとなりました。2021年5月31日までにHACCPを実施しなければ法令違反となってしまいます。

改正されたのは下記の7つのポイントです。
1.広域に及ぶ”食中毒”への対策を強化
2.原則全ての事業者に”HACCPに沿った衛生管理”を制度化
3.特定食品による”健康被害情報の届出”を制度化
4.”食品用器具・容器包装”にポジティブシルト制度導入
5.”営業届出制度”の創設と”営業許可制度”の見直し
6.食品の”リコール情報”は行政への報告を義務化
7.”輸出入”食品の安全証明の充実

現在HACCP導入違反による罰則は明確には定められていませんが、食品衛生法ではHACCP義務化を無視した罰則について「各都道府県にゆだねる」といった記載があります。

つまりHACCP義務化違反の場合は地方自治法によって罰則が与えられます。地方によっては罰則を設けないこともありますが、そうでなくとも万が一、食品事故が発生した場合は食品衛生法違反となります。しかしHACCP導入違反による食品衛生法や地方自治法の罰則よりも最も重く見るべきなのは社会的ペナルティです。社会的な信頼の喪失・営業停止・HACCP先進国への輸出停止となる可能性も考えられます。

2020年以降は保健所への営業許可を取る際にHACCP導入しているか確認されることとなります。食品関連事業者にとって保健所への届け出は避けては通れない道ですので、HACCP義務化から逃げることはでしょう。


従来の衛生管理方式では最終製品(出荷前の製品)が規定した基準を満たしているかを抜き取り検査し、安全性を確認するという衛生管理手法でした。

HACCP方式の衛生管理は原材料の受入から最終製品までの各工程ごとに、微生物による汚染や異物の混入などの危害を予測した上で、危害の防止につながる特に重要な工程(温度時間の管理、異物の検出等)を連続的・継続的に監視し、記録することにより、製品の安全性を確保する衛生管理手法です。

HACCP方式の衛生管理手法であれば、最終製品の抜き取り検査のみの従来方式に比べ、より効果的に安全性に問題のある製品の出荷を防止できるとされています。


食品の製造・加工・調理・販売を行うすべての事業者が対象となります。

しかし、すべての事業者が完璧にHACCP導入に取り組むことは難しいことから、規模や業種などを考慮した一定の事業者については取り扱う食品の特性などに合わせた衛生管理をすることになっています。

事業者に応じた衛生管理の取り組みとしてHACCPに基づいた衛生管理HACCPの考え方を取り入れた衛生管理の2つがあります。


HACCPにはHACCPに基づいた衛生管理HACCPの考え方を取り入れた衛生管理という2つの導入方法が存在します。

HACCPに基づいた衛生管理

HACCPに基づいた衛生管理とは簡単に言うと、HACCPの7原則12手順に従ってそれを遵守していく衛生管理の事です。

全部で12の手順や原則を踏まえた管理をする対象事業者は、
・事業規模の大きな食品取扱事業者
・畜場(と畜場設置者、と畜場管理者、と畜業者)
・食鳥処理場(食鳥処理業者 ※認定小規模食鳥処理業者を除く)
になります。

HACCPの考え方を取り入れた衛生管理

一方HACCPの考え方を取り入れた衛生管理とはHACCPの弾力的な運用を実施する管理方法です。一般衛生管理(施設や取り扱い食材全般に関する基本の衛生管理)と、重要管理(全てのメニューをHACCPの重要管理のポイントの加熱と冷却の工程によって3つのグループに分けて考える衛生管理)に基づいた衛生管理計画を作成し、衛生管理計画に基づいた実行と記録を残すといった流れの管理方法になります。

対象事業者は、

・小規模事業者および一定の業種
 ー小規模な製造・加工業者
 ー当該店舗での小売販売のみを目的とした
  製造・加工・調理事業者
  (飲食店チェーンのセントラルキッチン等)
 ー飲食店(屋台、キッチンカー等も該当)
 ー食品の保管や運搬の会社(飲料水ベンダーも該当)
になります。

つまり2つの導入方法を簡単に言うと

HACCPに基づいた衛生管理 = 厳密にHACCP7原則12手順全て実施しなければならない衛生管理
HACCPの考え方を取り入れた衛生管理 = 手引書を参考し、簡略化(一般衛生管理と重要管理のみに)した衛生管理

HACCPの考え方を取り入れた衛生管理の対象の事業者でも、HACCPに基づいた衛生管理の導入によるステップアップをしていくことで、「今後の貴社のビジネスの拡大」「社会的信用」「海外への進出(輸出に向けた取り組みの一貫)」に繋がります。


 

HACCP導入に取り組むための明確な基準としてHACCPの7原則12手順があります。

HACCPの7原則12手順はHACCPに取り組むための7つの原則と、原則に取り組む準備のための5つの手順から構成されています。
このHACCPの7原則12手順を繰り返し行い、継続的に取り組むことよって食品の安全性を確保できるとされています。

HACCP 7原則12手順の詳細はこちら

 

HACCP7原則12手順


導入とはHACCPの考えにのっとって取り組みを行う事であり、認定とは第三者機関による審査を受けて客観的に認めてもらうという事です。

導入のメリット

1.従業員の衛生管理への意識向上
2.導入の前提で整理、整頓、清掃、清潔、躾を徹底するので導線の安全、コストダウン
 ※リスクマネジメントを考慮した生産を指向している
3.国の求める制度化への対応

以上の項目はHACCPの手法を正しく導入しただけでも得られます。
導入した場合、法律に則り、HACCP導入に取り組んでいるという自己宣言ができます。

認定のメリット

1.客観的な第三者機関の認定を受けることで、取引先や消費者から一層高い信頼を得ることができる
2.第三者の目が入ることによって自社だけでは気づかなかった課題が明確になり、一層の改善が進む
3.第三者機関によるHACCP認定が条件となっている企業との取引が可能になる
4.第三者機関によるHACCP認定が条件となっている国への輸出が可能になる

この点は認定を受けなければ得られません。

HACCP認定をうける理由トップ5
1.外部による検証・認定は、製造者が食品安全基準を維持しているという明確な宣言となる
2.検証は流通のための市場を開拓しうる。
  多くの会社はHACCP認定をうけていない製造者からは購入しない
3.ビジネスの達成及び認識
4.輸出の可能性が増大
5.食中毒及び食品回収によるリスクを減らす

まずは、HACCP導入からスタート

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JQ式HACCP導入